「デザインのスキルをもっと伸ばしたい」
そんな方には、デザイナー長期インターンがおすすめです。
就職活動で「実務経験あり」は大きな武器になります。本記事では、仕事内容から応募のポイントまで紹介します。
デザイナーインターン応募前に準備すべきことリスト
デザイナーとしてインターンに挑戦する前に、最低限押さえておきたい準備項目があります。ただ「やる気があります!」だけでは採用されにくいのが現実です。
ここでは、実際の選考や業務で評価されやすくなる3つの準備ポイントを紹介します。
①ポートフォリオの作成・更新
デザイナーインターン選考で最も重要とされるのがポートフォリオです。
応募先企業は、あなたのスキルや発想力、世界観をこの資料から判断します。最初は学校課題や個人制作でもOKですが、見せたい内容にテーマや目的があるか、構成が分かりやすいかなどを意識しましょう。また、見た目のおしゃれさだけでなく、「どういう目的で作ったのか」「どこにこだわったのか」などプロセスの説明も付け加えると説得力が増します。
可能であればWebポートフォリオサイト(Behance、STUDIO、Notionなど)も用意しておくと応募先の目に留まりやすくなります。
②基本的なツールスキルの習得
インターンでは、即戦力を求められる場面も少なくありません。最低限、Adobe IllustratorやPhotoshop、Figmaなどの操作に慣れておくことが必要です。
特にUI/UX領域を志望する場合はFigmaやXD、Web系ならHTML/CSSの基礎も役立ちます。独学でも十分習得可能なので、YouTubeやUdemy、Schooなどを活用して少しずつ学んでおくと良いでしょう。
業務では「素早く・的確に操作できるか」が問われるため、日々の練習が実を結びます。
③自己分析と志望動機の言語化
意外と見落としがちなのが、自分がなぜデザインをやりたいのか、どんな企業で何を経験したいのかをしっかり言語化することです。
これが曖昧なままだと、ポートフォリオがいくら魅力的でも説得力に欠けてしまいます。自己分析では、好きな作風やジャンル、影響を受けたデザイナー、自分の強みなどを整理しましょう。
さらに、「なぜこの会社なのか?」という点まで掘り下げておくことで、面接でも自信を持って伝えられるようになります。
デザイナーインターンで任される仕事
デザイナーの長期インターンでは、スキルや経験に応じてさまざまな業務を任されます。
初めは補助的な作業が中心ですが、慣れてくると企画や提案段階から関わることもあり、現場の一員として実践的な経験を積むことが可能です。
ここでは、代表的な仕事内容を4つ紹介します。
①バナー・SNS画像などのビジュアル制作
もっとも多い業務が、WebサイトやSNSに掲載されるビジュアル制作です。
バナー広告やInstagram・Xの投稿画像、LINEキャンペーンのヘッダーなど、企業のブランドイメージに直結するアウトプットを任されます。トンマナ(トーン&マナー)を守りながら、限られた情報量の中でメッセージを伝える表現力が求められます。
また、掲載先によってサイズやレイアウトも異なるため、媒体に応じた対応力も磨かれます。
②既存デザインの修正・最適化業務
先輩デザイナーが制作したデザインデータの修正や調整も、インターン生が多く経験する業務です。
具体的にはテキストの差し替え、画像の更新、配色やレイアウトの調整などが挙げられます。
これらの作業を通じて、既存デザインの意図や構成を理解する力、細部に注意を払う観察力、そして効率的に作業を進めるスピード感が鍛えられます。
③UI設計やワイヤーフレーム作成の補助
Webサービスやアプリ開発に関わる企業では、UIデザインに携わる機会もあります。FigmaやAdobe XDなどのツールを使い、ワイヤーフレームやプロトタイプの作成補助を任されるケースが一般的です。
ディレクターやエンジニアとやりとりしながら、「誰が・どこで・何をするのか」といったユーザー行動に基づいた設計を考える経験は、プロダクト思考を養ううえで非常に重要です。
④企画段階からのデザインアイデア出し
ある程度のスキルが認められると、企画段階からミーティングに参加できることもあります。
とくにスタートアップやベンチャー企業では、「インターンだから任せない」という線引きがないことが多く、アイデア出しや方向性の提案などにも参加可能です。
自分のアイデアが採用され、実際のプロダクトや広告に反映される経験は、非常に大きな自信と成長につながるでしょう。
デザイナーインターンの具体的な仕事内容
現場では「デザインだけ」ではなく、企画理解やチーム連携も含めた多角的なスキルが求められます。
ここでは、実際に多くのデザイナー長期インターンが任される具体的な業務内容を紹介します。
1 依頼内容の確認・ヒアリング
まず最初に行うのが、依頼内容の理解です。
クライアントワークの場合は営業やディレクター、社内案件であればチームリーダーから「このバナーを作ってほしい」「この機能のUIを改善したい」といった要件をヒアリングします。
目的、ターゲット、使用媒体、納期、必須要素などを正確に把握し、不明点はその場で確認する姿勢が大切です。
2 デザインラフ・ワイヤーフレームの作成
UI/UX系の業務では、構成案となるワイヤーフレームをFigmaやXDで作成します。
一方、グラフィック系の業務ではPhotoshopやIllustratorでビジュアルラフを制作することもあります。ここで重視されるのは、伝えたい情報をどう整理し、どう見せるかという構成力です。
インターンでもアイデアを出す場面は多く、企画への積極的な提案も歓迎されます。
3 本制作・修正対応
ラフが通ったら本制作に入ります。色・写真・フォントなどを選定し、実際のデザインデータを仕上げます。
複数案を提出してフィードバックをもらい、修正を重ねて完成に近づけるのが一般的な流れです。チームで動く場合はSlackやNotion、Figmaのコメント機能などを使ってフィードバックをやり取りします。
スピード感と柔軟な対応力が問われます。
4 納品・ファイル管理
制作したデザインは、指定の形式やサイズに合わせて書き出し、社内ストレージやGoogle Driveなどで納品します。
同時に、元データの整理や命名規則の統一、共有URLの貼付など、ファイル管理も重要な業務の一つです。自分だけでなく他のメンバーが見ても分かりやすい状態にしておくことで、チームへの信頼につながります。
デザイナー長期インターンの探し方
デザイナー職の長期インターンは、一般的な求人サイトだけではなく、クリエイター向けの情報源を活用するのがおすすめです。
ここでは、デザイン志望の学生に特化したインターンの探し方を4つ紹介します。
1 クリエイター向け求人サイトを活用する
「ViViViT(ビビビット)」や「ReDesigner for Student」「MOREWORKS」など、デザイナー職に特化した就活・インターンサイトでは、ポートフォリオを公開しながら企業とつながることができます。
これらのサイトでは、実際の制作物をベースにスカウトが届く仕組みもあり、自分の作風と合う企業と出会いやすいのが特徴です。
2 ポートフォリオ投稿型プラットフォームを活用
「Behance」や「foriio」「ArtStation」などにポートフォリオを投稿することで、企業担当者の目に留まり、スカウトされる可能性もあります。
特にWeb・UIデザイン、イラスト、モーション系の領域では閲覧数が実績に直結することも多く、自己発信型の活動が有効です。
3 デザイン系のイベント・ハッカソンに参加する
学生向けのデザインコンテストやクリエイター系イベント、ハッカソン(開発+デザイン)に参加することで、企業の採用担当者と直接つながるチャンスがあります。
登壇企業が学生に声をかける場面もあり、インターン採用につながる例も多数あります。
4 デザイナーコミュニティで情報収集する
Slack・Discordなどで運営されているデザイン系学生コミュニティや、note、X(旧Twitter)などのSNSで実際にインターンをしている学生の投稿をチェックするのも有効です。
インターンを紹介している人にDMで聞くと、非公開の募集を紹介してもらえることもあります。
デザイナー長期インターンの選ぶ際のポイント
「なんとなく有名だから」「ポートフォリオに書けそうだから」といった理由だけでインターン先を選ぶと、思っていた仕事内容と違って後悔することも。
デザイナーインターンは、学びの深さや成長スピードに直結するため、目的や相性を見極めることが重要です。
ここでは、選ぶ際に意識すべき4つのポイントを紹介します。
1 担当するデザイン領域が自分の目指す方向と合っているか
「グラフィック」「UI/UX」「Web」「モーショングラフィック」など、デザインにはさまざまな分野があります。企業によって扱うジャンルは異なるため、自分が伸ばしたいスキルや将来やりたいことと一致しているかを確認しましょう。
たとえば、Web制作会社でグラフィック寄りの業務を希望しても、コーディング要素が中心になることもあります。募集要項の「業務内容」の細かい部分まで読み込むのが重要です。
2 フィードバックをもらえる環境か
インターンでより多くのことを学ぶには、先輩デザイナーからどれだけ実践的なフィードバックをもらえるかが重要になります。
単なる作業要員としてではなく、レビューや相談の機会がある環境であれば、課題の発見や改善にもつながりやすくなります。1on1や定期的な振り返りが行われている企業は、インターン生にも丁寧に向き合ってくれる傾向があります。
3 チーム体制や雰囲気が自分に合っているか
大手企業、スタートアップ、制作会社など、企業の規模や文化によって働き方は大きく異なります。少人数で意見を言いやすい環境がいいのか、安定したマニュアル体制で学びたいのか、自分に合うスタイルをイメージしましょう。
面談では、どんな人たちと働くのか、日々どうやってコミュニケーションを取っているのか、働き方の自由度なども聞いておくと、自分に合った職場か見極めやすくなります。
4 成果物をポートフォリオに使えるかどうか
せっかくインターンで作った制作物も、社外秘やクライアント都合で公開できないケースがあります。将来の就活を見据えるなら、「実績として公開OK」「自分の関わった範囲を明示できる」など、ポートフォリオ活用の可否も確認しておきましょう。
企業によっては実務とは別に課題形式で制作チャンスを与えてくれる場合もあります。
デザイナーインターンの選考で合格するための3つのコツ
デザイナーのインターン選考は、単なる「やる気アピール」だけでは通用しない場面もあります。
企業が見ているのは、スキルや経験だけでなく、「一緒に働けるかどうか」という相性も含めた総合力です。ここでは、選考突破を目指すために意識したい3つのポイントを紹介します。
1 デザインの意図を伝えるポートフォリオにする
ポートフォリオは「ただ作品を並べるだけ」では足りません。大切なのは、「なぜその構成にしたのか」「どんな課題を解決したのか」など、制作の背景や考え方を伝えることです。
ページごとに短くてもよいので、「目的」「工夫した点」「結果」などの説明を添えておきましょう。作品そのものよりも、考え方や改善の姿勢を重視する企業も少なくありません。
2 志望動機に企業への理解を織り込む
「デザインが好きです」だけでは、印象に残りません。応募先の企業がどんな事業をしているか、どんなデザインを大切にしているかを調べた上で、「なぜその企業でインターンしたいのか」を具体的に伝えましょう。
Webサイトや制作実績、SNSの投稿などから、企業のテイストや方向性を把握しておくことがポイントです。
3 「できること」と「学びたいこと」を明確に
自分がどこまでできるのか、どこを伸ばしたいのかを明確に伝えると、企業も業務内容をマッチさせやすくなります。
「Figmaは操作できますが、UI設計の経験は少ないので実践で学びたいです」など、現状と目的をセットで伝えると、成長意欲が伝わりやすくなります。
過度に自分を大きく見せるよりも、率直な姿勢や成長意欲を持つことの方が評価されやすい傾向にあります。
デザイナーインターンシップ経験者の声・体験談
ここでは、デザイナー長期インターンシップの経験者による体験談を5件ご紹介します。
各体験談では、参加のきっかけや業務内容、得られた学びなどが詳細に語られています。自分の進路を考えるヒントにしてみてください。
1 東 莉緒さんの場合
美術大学に通う東さんは、サイバーエージェントとDeNAのインターンに参加しました。
DeNAのインターンでは、無名アーティスト向けの収益化サービスをテーマに、企画立案からUIのデザインまで担当。自身の地下アイドル経験を活かし、ユーザー視点を重視した提案を行いました。サイバーエージェントのインターンでは、色彩理論を意識した制作にも挑戦し、視覚的な訴求力の大切さを再確認したそうです。
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2 小日向 桜さんの場合
横浜市立大学の小日向さんは、電動トゥクトゥクを展開するベンチャー企業「Emobi」でインターンを経験。
はじめは接客業務を行っていましたが、徐々にCanvaやIllustratorを使ったSNS用画像や販促物の制作など、デザイン業務を中心に担当するようになりました。現在では人事にも関わっており、裁量の大きな環境で多くのことを学んでいます。
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3 ETさんの場合
元プロジェクトマネージャーの社会人経験者であるETさんは、キャリアチェンジを目指し、デザインファーム「root」でインターンを開始。
UI設計のリサーチやワイヤーフレーム作成、社内のデザイン組織づくりにも携わり、実務経験を積みながら週1回の1on1を通じて自分の課題と向き合いました。未経験からでも挑戦できる環境の大切さを実感したそうです。
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4 東 大嵩さんの場合
桑沢デザイン研究所に在学中の東さんは、地域に根ざしたブランディング支援を行う企業でインターンに参加。
イベントの企画・運営サポートや広報用ビジュアルの制作、打ち合わせへの同席など、幅広い業務に関わりました。デザインそのものだけでなく、プロジェクトの進め方や対人スキルも磨かれた経験になったと語っています。
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5 柳澤さんの場合
株式会社CAMでインターンを行った柳澤さんは、デザイン業務に加え、社員との雑談や人生相談を通じて深い人間関係を築けたといいます。
業務の中でスキルを伸ばすだけでなく、職場の空気を肌で感じながら、自分らしい働き方を見つける大切さを実感したとのことです。
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